フェアトレードのお店「千手観音」で寄付文化の低さを憂う

2010年4月8日 22時46分 | カテゴリー: 市民参加のまちづくり

NPO法人への寄付

最近は、よく見かけもし、耳にもする機会が増えた「フェアトレード」。意味は「公正貿易」。途上国の生産者に公正な賃金や労働条件を保証した価格で商品を購入することで、途上国の自立や環境保全を支援する国際協力の新しい形態をいいます。
私どもの事務所の向かい(青梅街道を挟んで斜め向かい)に、昨年10月オープンしました<写真>。

昨年、うちの事務局長から、「フェアトレードのお店の方が開店のご挨拶にみえました」と報告を受けていたものの、その後、何度かお店の前を通ったことはあるのですが、店名が「千手観音」。ちょっと、その筋(どの筋?)の方か、と思い、敬遠していました、今日までは。

中学校の入学式が終わり、雨に降られ、善福寺川や阿佐ヶ谷住宅の散りゆく桜の木の下をとぼとぼ歩き、役所がある青梅街道に出ました。信号待ちをしていて、ふと、振り向くと「千手観音」が、おいで、おいでをしているではありませんか(冗談です。それじゃ、招き猫です)。エイッ!とお店に入ってみることにしました。(1人で初めての飲食店に入れないのですが、こういう雑貨のお店もなかなか入れない性分です)

「見せてくださーい」と言いながら、おそるおそるお店に入りました。棚には、見慣れたカレーやコーヒー、紅茶が並んでいます。私が加入している生活クラブ生協でも、こういった開発途上国の生産者に対して、生産者原価方式(生産者が再びこの品物を作れるような価格の設定)の考え方の下、フェアトレードの品物を共同購入しています。

「あの〜」と、お店の人を探すとカウンターレジの向こうに座っていた方と目が合いました。(男性だ!)フェアトレードのお店の店主のほとんどは女性ですので、びっくり!
そこで、なぜ、フェアトレードのお店を開いたのかを根掘り葉掘り伺ったところ、「植民地問題です」ときっぱり。「かつて、日本も植民地支配をしていましたね。欧米などの植民地になっていた地域の問題はまだ解決していませんし、支配していた国も責任取っていません」と。会社を卒業した店主の小西さんはお金があるうちに、自分がやりたかったことを始めよう、とこの店をおひとりで始めたとのこと。
「声高に言うのはなんなんですが、言ってみれば<運動>です」

南阿佐ヶ谷駅の脇にあり、一等地。「家賃も高いです」と。「でも、おおぜいの人に知ってもらいたい。途上国の現状を知って、商品を買うことで応援してもらいたい、だから人の目につくところに」と店主の小西さん。
ここで話題になったのが、「日本人には寄付文化がない」ということ。外国のように、寄付行為が一種のステータスになるにはまだまだ時間がかかる。生活者ネットも寄付文化が根付くようあれこれ政策提案をしているが、まずは国の制度を変えなければだめ。その点では今の政権に期待している。杉並区に杉並区NPO支援基金があるが、黙っていてはお金は集まらない(いつの間にかNPO支援センターのHPのトップ画面から「NPO支援基金」がなくなった!運営事業者が変わったせいでHPも変わった。これはいかがなものか)。寄付したあと、そのお金がどのように役立ったかを公表することが大事。生活者ネットの仲間が、NPOバンク(CPB)を作って、寄付や基金を集め、そのお金を地域に役立つ事業に貸し出すしくみを作っている…など、立ち話ではありましたが濃〜いお話ができる店長さんでした。ちょっと見には、あっさり系のスマートな方ですが、熱い思いがうかがえました。

先日もクローズアップ現代(NHK)「寄付が社会を変える」で、なぜ日本の寄付金額が欧米と比べて桁違いに低いのか、をC‘S(シーズ)の松原事務局長に訊いていました。
このお店のように、利益追求型事業ではない社会貢献事業の場合、家賃の割引か補助、売上に対する税金控除、また、こういう事業をする店子を受け入れる大家さんにも税金控除、という制度をつくらないとせっかくの意思が実っていかない、そんな日本の社会の現状です。制度を作るのは政治の役割。NPO法ができて12年。見直しがされてきていますが、まだまだ、NPOが活動しにくい状況があります。法律が市民社会の構造に本当にフィットしているか、中身の見直し・充実をつねに図っていかねばと思います。(あー、長くなってしまった!)
なんと!今日(9日10時)NHKのニュースで、
「税制調査会がNPO支援の税制導入へ」というタイトルが!
政府税制調査会は、NPO法人の活動を資金面で支えるため認定NPOに寄付した場合に、所得税の負担を軽くする新たな制度を導入し、市民が寄付しやすい環境を整えることになりました。

…と、報道がありました。寄付文化が醸成されるかな?1歩前進ではありますが、認定NPO法人に限るというのがネックです。要件が厳しく、認定NPOなんてなかなかとれないと聞きます。全国に4万あるNPO法人中、認定NPOは150に満たないとか。

で、「千手観音」ですが、なんでこの名前※なのかは置いといて、ミッションを持ったお店ですのでどうぞ、みなさん、阿佐ヶ谷にお越しの節は、足を運んでください。中杉通りが青梅街道にぶつかったところにあるパン屋さんの右側です。地球にやさしい品揃えです。
※千人の手と手をつないで力を合わせて、という意味だったと記憶していますが…