田中区長の「多選自粛条例廃止」提案はどう考えてみても納得できない

2010年12月11日 11時27分 | カテゴリー: 議会、選挙、政策

廃止したのちどういった場でだれがゼロベースで議論するというのか

区立昭栄公園前の歩道。これを撮影した数日後に、この時期にしては記録的な大雨(ほとんど台風)でイチョウの葉は落ちました。
区立昭栄公園前の歩道。これを撮影した数日後に、この時期にしては記録的な大雨(ほとんど台風)でイチョウの葉は落ちました。
「区長の在任期間に関する条例」いわゆる多選自粛条例が廃止になりました。
7年前、前区長が提案したものを議会が何度も議論を重ねて賛成多数の同意でもって制定したものです。それを田中新区長が廃止を打ち出し、議会がこれまた賛成多数の同意で廃止決定をしました。
制定時、何度も議論を重ねて多選禁止を多選自粛にかえてつくりあげた議会の議論はなんだったのでしょうか?前回条例制定に賛成し、今回条例廃止に賛成した議員の賛成意見はまったく理解できませんでした。 

区長は権限が集中する役職です。区の予算の決定権や、条例の制定・廃案の提案、議会の議決すべき事件について議会に提案できるのが区長です。また、一定の金額以下であれば、専決処分と言って議会に諮らずに区長の意のままに予算執行ができたり、土地利用の許認可権も行政職員の人事権も握っています。首長の多選を繰り返すと区長の専制化、独裁化がおこり行政組織が硬直化する可能性が高くなることが言われています。すると、人事の停滞や側近政治により職員の士気が低下。癒着による腐敗政治を引き起こしていく実態がこれまでもさまざまな自治体で起きており、批判が多々あるところです。

多選首長を当選させるも落選させるも市民の意思によることは言うまでもありません。条例によって被選挙権を奪うのは法律違反だ、という声もあります。しかし、その議論を乗り越え「自粛」とした条例には、多選(4期目から)を選択した首長に対してなんらお咎め規定は入っていません。これまでも多選首長が腐敗政治を引き起こし市民生活に大きな弊害を及ぼしてきた現実があり、「多選」を回避する市民の知恵がつまった条例だったとも言えましょう。

前区長のパフォーマンスで多選自粛条例はつくられたとの声もありますが、制定した当時、他の自治体の方からは「羨ましい」という声がたくさん聞かれました。およそ1800ある自治体のうち、多選に関する条例をつくっている自治体は13自治体で、まったく少数です。後に続く自治体が増えないじゃないか、と言われますが、区長や議員の政治信条・理念に関わるもので、そこの意見を闘わせながら合意形成をするため、制定が困難な条例なのです。少しの自治体でしかできないのはそういう理由があるのです。

田中区長は、「自分は長くやるつもりはない」としながら、「一旦廃止してからゼロベースで議論しよう」と廃止を提案しました。長くやるつもりがないならこの条例に手をつける必要はないのです。「次を担う首長のために、自分の政治信条をもってこの条例を廃止する」というのはまったく失礼な話で、つぎの首長のことはその首長が決めればよいのです。今の首長が次の首長のことを案じて現在ある条例を廃止する意図は、ただ単に前区長批判としか思えません。

区長の多選自粛条例が廃止された今、いつ、だれが、どういった議論の場で区長の多選についての議論をゼロベースから始めるというのでしょうか。まったく見えないし、まったくわからん!