初代公選区長 新居 格氏を温ねて、政務活動費を考える

2013年4月3日 19時25分 | カテゴリー: 市橋あや子は考える, 議会、選挙、政策

杉並郷土史会会報238号が届きました。一面に「区政80周年記念講演 新居 格(にい いたる)」とありました。だれ?サブタイトル「文学と政治のあわいで~その思想と区長としての葛藤~」が目に飛び込む。政治???区長??? 

読み進んでいくと、終戦後の1947年4月、初の区長公選で当選しながら1年で辞任した、とあります。あの時代、官選の区長しか知らない住民が文筆家の新居氏を選んだこと自体が驚きです。杉並区民の民度の高さでしょうか。阿佐ヶ谷文士たち(外村繁、井伏鱒二、上林暁)が応援演説をしたそうです。戦後、助役区長が続いていたのが山田宏氏の登場で初めて助役以外が区長になったとばかり思っていたのですが、どっこい違っていました。この会報の発行責任者のご許可をいただいて少しご紹介します。

新居格氏は、
「天下国家をいうまえに、わたしはまずわたしの住む町を民主的で文化的な、楽しく住み心地のよい場所につくり上げたい。日本の民主化はまず小地域から、が私の主張。憲法だけは民主的に形作っても、日本人一人一人の頭の中が相変わらず空っぽであり、依存主義であり、封建的であるのではなんにもならない。日本中のあちこちの村に大臣以上に立派な村長ができたり、代議士以上に信用ができる村会議員が続々出てくるようでなくては、本当の民主主義国家の姿ではない」と考えていたようです。新居氏が今を見たらなんとおっしゃるだろうか。また、
「杉並区を新しい文化地区にしたい、それがわたしの夢である。荻窪駅の北側にある大通り、あのあたりがわが杉並区のセンターともなろう。よき図書館、上品なダンスホール、高級な上演目録を持つ劇場、音楽堂、文化会館、画廊などがあってほしい」このような思想、ビジョンをお持ちの区長だったことを知りました。(今の区長はどういうビジョンをお持ちだろうか。あまり明瞭にされない方だが・・・)

さらに、新居氏は宴会政治を断固として排撃した、とあります。
区民たちの幸福と利益のために使うべき区長交際費を、少数者の有力者たちだけの、清酒の乾杯に使うのは面白くありません」ときっぱり。区長交際費とは「区議の饗宴のために使う」ものだという既成概念をもっていた区議や吏僚には驚きだった、と書かれています。

ここで思い出すのは、先月閉会した第一回定例区議会で「政務調査費」を「政務活動費」に名称変更だけでなく中身も変えてしまった条例のこと。これまで、区議の調査研究のみに使途が限定されていたものを、飲食をともなう会の会費にも「区民意見の聴取する活動」という名目で出金できるようにしてしまったのです、杉並区議会は。1947年に区長を担った新居氏の言葉がいま光ります。恥ずかしくない議会でありたい。