「はだしのゲン」閉架問題、軍靴の音が聞こえる

2013年8月25日 18時48分 | カテゴリー: こども 教育, 人権と平和, 市橋あや子は考える

毎年、役所のロビーで開催される ヒロシマ・ナガサキ「原爆と人間展」。今年は8月12日~17日でした。

昨年の暮れに原作者の中沢啓治さんは亡くなられたんだっけ・・・と思いながら、「はだしのゲンのミュージカルが6年ぶりに上演される」という新聞記事を読んでいましたら、今度は「はだしのゲン、小中校で閲覧制限」という記事が載りました。松江市での出来事。 

投下された「リトルボーイ」の模型が展示されています。

昨年8月に市民から「誤った歴史認識を子どもに植え付ける」として、小中校の図書室から作品の撤去を求める陳情が市議会に出され、同年12月の市議会教育民生委員会で審議した結果、「議会が(この陳情を)判断することには疑問」として全会一致で否決しています。(うちの区議会だったら絶対審議しないと思う。市民からの陳情・請願の審議率はとてつもなく低く、多くは“塩漬け”。それはそれでひどいのだが…)その際、「教育委員会の判断で適切な処置をすべき」という複数の委員から意見が出たため、市教育委員会で「閉架」を決めたという記事でした。事実は、教育委員会で話し合われたわけではなく教育長の判断で閉架したようです。(イソップ童話の、ロバに子どもが乗り、子どもがおりて父親が乗り、次に二人で乗り、二人がロバを担ぎしているうちに橋の上にさしかかり、暴れたロバが川に落ちて死んでしまったという話を思い出しました)鳥取市の図書館では市民からのクレームで、おととしから「はだしのゲン」が書架から撤去されていたという報道もあります。 

このような「歴史認識」に関しては、かつて杉並区においても中学校の歴史教科書に「新しい歴史教科をつくる会」(扶桑社→育鵬社)の歴史教科書を採択した不幸な教育委員会時代があり、当時区長だった山田宏氏(現在、日本維新の会の国会議員)の思想が教育委員の人事に大きな影響力を与えていました。というのも教育委員は首長が任命します。時の首長の思想で右だ左だとならないように、教育委員は公選制にすべきです。現在、杉並区立の中学校では帝国書院の歴史教科書を使っていますが、育鵬社の教科書を使う自治体はなんとなんと劇的に増えているのです。 

一部の描写にとらわれ、「はだしのゲン」が戦争・原爆の悲惨さを伝える大変価値がある作品だという判断ができないことの方が問題です。かつて日本政府が核不拡散条約(NPT)の加盟国に「はだしのゲン」の英語版を配布したこともあったというのに。 

主催している光友会の方に、折り紙で作った独楽をいただきました。くるくる回る。今の国の政治状況を見て、いつまでも平和が続きますように、と祈りました。(立場上、祈っているだけではいけませんが)

年々、戦争や被爆体験を語り継ぐ人が減っています。国を挙げて、「我が国は二度と戦争の道を歩まない」と声高に言わねばならない時代に入っている危機感を覚えます。衆参のねじれを直してしまった安倍政権。ねじれはいけない、悪いもの、という暗示にかかった国民がねじれを直してしまった結果です。軍靴の音が聞こえませんか?