シンタンリンってなに? -都立済美山自然林を地域住民が世話をする
妙法寺脇から砧浄水場までまっすぐ走る道路「荒玉水道道路」をご存じですか。私は、善福寺川歩きのほか、整備中の済美公園や済美養護学校に足を運ぶ時に歩いたり自転車で走ったりしていましたが、ここに「済美山自然林」と呼ばれる小山があるなんて知りませんでした!都立和田堀公園の一角です。
「大変なんです!自然林の下草刈りが行われたのですが希少植物や低木も伐られてしまって、水鳥の棲む水辺づくりを目指している杉並区なのに東京都にこんなにされて、鳥も来なくなる」と相談があり、「そこはどこ?」と見に行きました。昨年できた都立済美山運動広場のすぐ目の前。善福寺川に架かる済美橋手前の右岸にあります。
ここは妙法寺さんの「シンタンリン」だったそうです。シンタンリン?薪や炭にするために植えた木のことで「薪炭林」。そういえば、上流の善福寺公園上池の脇にある林も「薪や炭を使っていた頃に、必要があって植えた林です」と本橋又蔵さんから伺ったことがありました。生活に必要があって植えられた木々ですが、ガスや電気の暮らしになると放置されたままに。
済美山自然林は、(財)東京都公園協会の善福寺川緑地サービスセンターが、ボランティアの手を借りながら下草刈りなどの手入れを行っています。自然林の一方は川、一方は荒玉水道道路、そのほかは民家に囲まれています。林の中は通り抜けられますが、林の中にはフェンスが張られていて入ることはできません。人が入り込まないから希少植物が自生していたり、虫などの生き物が生息できる。鳥が餌を取りにきたりできる、と周辺の人たちはこの自然林を大事にしています。
大変だ!と言ってきた周辺住民の方たちと公園協会と懇談する機会を持ちました。住民側は、「手入れに参加させてほしい。できれば向かいの大宮中の子どもたちも」という要望を述べ、公園協会側は、「ボランティアとしてお手伝い願えれば私たちもうれしい」ということで、新たな関係が作られる現場に立ち会うことができました。
今後、どう整備するのかの方針をたてるところから住民の参加を求め、限られた人だけでなくこの林を愛する人であれば誰でも作業に参加できる工夫が必要、ということを両者で確認しました。いずれにしても、「これから」です。